種入りフォルコーンブロート T.K様
私は、若い頃に、ヨーロッパで暫く暮らしていました。食について、日欧を比較していくつか強く印象に残っていることがあります。
まず牛肉。当時は、価格が日本と比べて非常に安かったので、勇んで厚さ3センチのステーキを作りました。ところが、匂いが強くて、食べられないのです。牛臭いというかけもの臭いというか・・・数年たち、おいしくその牛肉を食べられるようになった頃、日本でステーキを御馳走になりました。今度は、「味」がないのです。牛肉を食べている気がしませんでした。
花巻でツィンマーマンさんのパンを食べた時も、同じ印象がありました。「日本人好みの味」ではなくて、本場ドイツのパンそのままです。ツィンマーマンさんのパンに慣れ親しんでしまうと、普通の食パンは、上に乗せている「具」で食べているのであってパン自体の「味」がないのです。全粒粉パンですら、物足りなく感じられてしまいます。麦の、大地のストレートな味を引き出すのがツィンマーマンさんのお仕事とお見受けしました。
取り分け、ツィンマーマンさんのフォルコーンブロート(きっと、日本の普通のパンに慣れている方には、最初食べにくいだろうなと思います。)は、数々の素材(※レシピ紹介)が、ツィンマーマンさんの腕で捏ね合わされ、ギリギリのところで共存しながら、それぞれが自らを主張しています。どっしりとしていて、黒パンの原点みたいなパンです。パン自体を味わうのが好きな方なら、時折、無性に食べたくなってしまう本物のパンです。
















